数えずの井戸
京極さんの新刊です。新聞連載でしたが、我が家で取っている新聞ではなかったのでお初です。
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/01/25
- メディア: ハードカバー
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モチーフは、番長皿屋敷。「一枚、二枚…」と数えていく、あの怪談。各地に、いろいろな皿屋敷の話があるんだそうです。
京極夏彦の、美しい日本語。まさに文学って感じ。ご本人は、大衆娯楽だっておっしゃるかもしれないけれど。京極夏彦が語ると、番町皿屋敷もこんなになっちゃうんですね。怪談というよりは、もっと美しくて儚くてなんだかもやもやと切ない物語になっています。
挿絵はないのだけれど、脳内にくっきりとお屋敷や、長屋の様子が浮かぶ。現実の建物というより、お芝居の「舞台芸術」のような。黒子がいて、ぐるっとステージを回すとお屋敷の奥の部屋になっていたりとかするあんなのです。(本当は、ドリフのコントを思い浮かべたんだけれど、それは内緒です)そして、人物にスポットライトが当たると、その人物が語り始めるっていう演出。決して、ドラマや映画のような映像ではないんです、ふしぎだなぁ。
とっても厚い本だけれど、朗読で聞きたい。ラジオドラマのように、声優がたくさんいたり、効果音が入ったりじゃなくて、ただ淡々とした「語り」が良いなぁ。京極さんのレインボーボイスで聞けたら最高ですね。