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孤独な狼たち

京極夏彦 ルー=ガルー

ルー=ガルー 忌避すべき狼 (講談社ノベルス)

ルー=ガルー 忌避すべき狼 (講談社ノベルス)


 Production.I.Gで、アニメ化決定だそうです。
 単行本の発行は、2001年。ここに描かれている近未来は、2010年となった今では違和感はない。初版の頃に読んでいたら「まさか」という感じもあったのではと思う。
 個人に一台の端末。GPSによる位置確認、各種データへのアクセス、通信、個人の特定などされる。また、自宅のセキュリティモニタで、住民の在宅・外出も監視される社会。程度の差はあれど、今では、当たり前のようにさえ思えてくるものばかり。
 リアル(現実)が絶対だとは思わないけれど、端末・モニターにつながれたバーチャルな世界もまた、どうしたもんかと思う。ただ、最初の部分で、会議(みんなが一カ所に集まって顔をそろえてする、アレ)について、時間の無駄といいきっているのがすきっとしました。無駄な会議多いですよね。レジュメを読み上げるだけなら、何も集まらなくたっていいじゃんって思うとき、ありませんか。このあたりで、旧世代(現実の今の時代の人々。物語の中では年上の人々)と、新世代(新しい教育、仕組みの中で大人になった人々)のギャップも。いつの時代でも「最近の若いもんは…。」と、いうのはあるのですから仕方ありませんね。
 現代の続きとしての近未来という意味で、小説の舞台はあり得ると思うし、あってもおかしくない。その中で、少女達が端末から自分を解き放つことで得た自由と、切ない結末が、今現在(2010年を)立ち止まって考えても良いんじゃないと思わせてくれた。
 SFとして読んでも良いし、ミステリでも良い。私は京極夏彦というジャンルで読みました。表紙カバーをはずして、裏面も要チェック!