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カササギたちの四季

カササギたちの四季

カササギたちの四季


 はじめは、道尾秀介らしさが変わってきたなぁと思った。
 背の眼、骸の爪などで感じた、硬質でごつごつと尖った感じ、ガラスのようにキラキラしていて、もろそうな感じがなくなっている。
 あぁ、濁ったとかという意味ではなくて、穏やかで、柔らかく、ゆったりとした感じになっているということ。ホラーっぽい演出が無くなっているということもあるのかもしれないが・・・。


 で、いつからこんな感じになったのかなと思って、出版順に眺めてみたら、プロムナードがターニングポイントかなぁと思い至った。
 実際に書かれている時期は出版順とは重ならないだろうし、エッセイという形式の違いも有るかもしれない。が、プロムナードで、道尾秀介(に対する私の感じ方)が変わったのだと思う。
 その後の作品でも、エッセイに現れる道尾氏の暖かい人柄・旺盛なサービス精神を、受け取ることが出来るようになったとのかな。
 そう考えれば、道尾秀介が変わったのではなく、こちらの受け取り方が最適化されたとも言える。


 本作は、事件→推理→現実の調整→まぁ、一件落着?!の形式美が最後まで貫かれた4編。
 なぜ、彼が現実の調整(つじつま合わせ)を行うのか、その心理が、あまりはっきりと書かれていない分、想像力がかきたてられるのだ。
 それが、帯に抜粋されている文と重なって、何とも切ない感じがする。


 帯に関して、最近ではなかなかのできだと思う。