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私の家では何も起こらない・・・時間も場所もシャッフルされて

恩田陸も、大好きな作家の一人です。
夜のピクニックもよかったし、ユージニアも不思議な世界が素敵でした。

私の家では何も起こらない (幽BOOKS)

私の家では何も起こらない (幽BOOKS)

私の家では何も起こらない
いかにも、何か起こっているようなタイトルです。
彼女の家で何も起こらないはずはないって。


初めはよくある「幽霊屋敷と呼ばれるおうちにまつわるお話」と思って読んでいました。
いろいろな人が、中から、外から屋敷(というほど大きい物ではないようですが)にかかわり、
そこであった事件とか、いろいろ話しているんだと。


最後の方で、人ならざるものがみえる老人が、
「生きている人間は悪さするが、死んでる奴はしない。死んでる奴らなんざ、かわいいもんだって」というのは、なかなかその通りと思います。


で、今回書き下ろされたという、最後の章で、すっかり混乱。
これは、現実なのか、創造なのか、エッセイなのか???
いや、恩田陸に、場所も時間もスクランブルされるような感覚は、いままでにあったけれど・・・。何が何だか・・・。

そもそも、同じ家のことではないのか、登場人物(登場屋敷)は複数なのか、時間軸はどうなっているのかなどなど、はてなの連続。


そして極めつけは、最終ページ。著者紹介の後の一文。


この物語はフィクションであり、実在の人物とは関係ありません


わざわざ、書き加えられるってことは、近いことがあるって言うこと?
これって、恩田陸のお家?


なんてうがって考えてしまうぐらい、妄想は広がりました。


ま、この「好き勝手にあっちこっち振り回される感」が
恩田陸の醍醐味と言えば醍醐味なので、大満足です。